ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。
京は雪の新年を迎えた。
あかねの発案で、みんなで雪遊びをすることになり――
ごろごろごろ………
ごろごろごろ………
「泰明殿、雪だるまとは、これでよいのでしょうか」
「上下二段の丸い雪玉を、頭と胴体に見立てるのだと、
神子は言っていた。
腕のかわりに木の枝もつけた。
これで問題ないはずだ」
「でも…あの……これだけでは余りにも…簡素な気がいたします。
神子の言う、ばけつとたどんとてぶくろに似たものはないのでしょうか」
「ばけつなるものは頭部に載せるそうだ。
だが、桶や盥は形が似ているが風情に欠けると神子は却下した。
たどんは炭で代用できるはずと、形の合うものを探していたが、
よいものが見つからなかった。
未の毛で編んだ、まふらあとてぶくろは入手できない」
「そうなのですか…。
けれど、神子の世界の雪だるまに近づけないまでも、
何か私たちにできることがあればよいのですが……」
「これだけでは神子は淋しがるかもしれない、というのだな。
ならば、何か手立てを考えよう」
「泰明殿、私、この雪だるまに文様を刻んでみます」
「では、私は雪だるまに、まじないをかけよう」
「できました」
「私もできた。永泉、笛を吹け」
「はい、泰明殿」
~~~♪
ぎぃぃぃ
「あ、雪だるまが枝を振りました!」
「この雪だるまは永泉の笛で動く。
続けろ」
「はい」
~~~♪~~~♪~~~♪
雪だるまはずずず…と歩き出した。
「歩きづらそうです……」
「分かった。
このようなこともあろうかと、
雪だるまには別の機能も組み込んである。
永泉の笛で適当に起動するはずだ」
「やってみます」
~~~♪~~~♪~~~♪
うぃーんがしっ!
うぃーんがしっ!
「ああっ! 中から足が…」
うぃーんがしっ!
うぃーんがしっ!
「腕も出てきました。
枝を武器のように構えています。
ああ…もう少し、美しい姿勢になれば……」
「ならば、そのように命じればいい」
「そうでした。
では………」
~~~♪~~~♪~~~♪
ちゃきぃぃぃん!!
雪だるまはカッコよくポーズを決めた。
「これは見事な!!」
「雪だるまロボじゃねえか、すげえ!」
頼久と天真がやってきた。
「素晴らしいものですね」
「永泉様と泰明殿は、最強の雪だるまを造り出したようだね」
鷹通と友雅も、まぶしそうに雪だるまを見ている。
「天真、これが大きくなれば、乗り込むこともできそうだ」
「いいこと言うじゃねえか、頼久。
雪だるまの拳がうなったら、きっとカッコいいぜ」
「武闘派の雪だるま…ですか。
ならば、空も飛べるといいのではないでしょうか。
開いた翼で天に飛ぶ雪だるまは、きっと美しいことと思います」
「空に舞い上がった姿を追うには、
やはり巨大化が必須のようだね」
「巨大化と翼…ですか。やってみます」
♪♪♪♪♪
ぐぃぃぃぃぃん!!
ぶぁさっ!
雪だるまはみるみる大きくなり、背からは翼が出てきた。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
雪煙を立てて、雪だるまが飛び立つ。
「おおっ」
「すげえじゃねえか、永泉!」
「まるで夢のようです」
「永泉様がこれほど卓越した雪だるま使いとはね」
「何かが弾けたか……永泉」
「あっちは騒がしいな、詩紋」
「珍しいね、頼久さんや鷹通さんまではしゃいでるみたい」
「イノリくん、詩紋くん、できたよ! 雪うさぎ」
あかねが二人を呼んだ。
雪の上には、緑の葉っぱの耳と、赤い木の実の目をつけた
六匹の雪うさぎが並んでいる。
「オレも作ったぜ」
「ボクも」
「これで八匹。ちょうど八葉のみんなが揃ったね」
あかねはにっこり笑う。
「これだけじゃダメじゃん。
お前がいなくちゃ、しょうがないだろ」
「じゃあ、一緒にあかねちゃんの雪うさぎを作ろうよ」
「わあ、うれしいな。
できれば可愛く作ってね」
「任せとけって」
「うんと可愛く作るからね」
2013年お正月企画
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[雪遊び その1]
[熊野川 マロ突破法]
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2013.01.01 筆 03.23 [小説]に移動