西暦1000年。
京は鬼の怨霊攻撃により滅亡の危機に瀕していた。
怨霊を封じる力を持つ神子はアクラムに捕らえられ、
迫力彗星に閉じ込められている。
鬼の首領アクラムの目的は、神子もろとも迫力彗星を京に墜とすことだ。
人々の期待を背に、神子と京を救うべく飛び立った八葉は、
セフルやシリンの率いる艦隊との戦いに勝利し、迫力彗星へと近づいていく。
しかし思わぬ困難が待ち受けていた――。
ある日のこと、
「迫力彗星が見えた」
天文観測係の泰明が言った。
「どこだ!?」
みんなは色めき立つが、何も見えない。
泰明の眼の精度が桁外れなためだ。
「もっと近づけば見えるようになるんだろ?」
「方角が合ってるなら、大丈夫だよね」
「いや、大丈夫ではない」
「え……そ、それでは…道を間違っていると…」
「迫力彗星との軸線上に大量の敵だ」
「早く言えーーーーーーっ!!!!」
彼らを待ち受けていたのは、敵の司令・イクティダール。
「八葉の諸君、お館様のご命令だ。
君たちをこれ以上迫力彗星に近づけるわけにはいかない。
出でよ、怨霊たち!!!」
八葉の船を取り囲むように、
見渡す限りの空域を怨霊が埋め尽くした。
このままでは、多勢に無勢、
八葉は圧倒的に不利……と思われた。
が……
しょせん量産型の ザク 怨霊はザコだった。
「
ヤハト搭載の戦闘機・ホワイトタイガーに乗った八葉に、
難なく蹴散らされたのだった。
「意外とあっけなかったな、頼久」
「いや、これはあっけなさ過ぎる。
油断するな、天真」
頼久の勘は当たっていた。
「おい、あれは何だ!?」
イノリが舷窓を指さして叫ぶ。
怨霊の群れの向こうに眩しい光が現れ、ぐんぐん近づいてくるのだ。
「方角からすると、あれは迫力彗星に間違いない。
だが、想定外の速さだ」
迫力彗星の進路からイクティダールの船が飛び去り、
怨霊たちも蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
迫力彗星は、みるみるうちにその禍々しい全貌が肉眼で捕らえられるまでに大きくなった。
「た…確かに速い」
「しかも、赤い」
小さく首を傾げて計算していた泰明が、冷静にその結果を伝える。
「普通の彗星のおよそ三倍の速さだ」
「落ち着いてる場合か!!」
「早く避けないと!!」
「ぶつかる!!!!!!!」
続く
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2014.04.01