八葉よ永遠に・4


西暦1000年。
京は鬼の怨霊攻撃により滅亡の危機に瀕していた。

怨霊を封じる力を持つ神子はアクラムに捕らえられ、
迫力彗星に閉じ込められている。

さらに鬼の首領アクラムは、神子もろとも迫力彗星を京に墜とそうとしていた。

人々の期待を背に、神子と京を救うべく宇宙戦艦ヤハトで飛び立った八葉は、
セフルやシリンの率いる鬼艦隊との戦いに勝利し、迫力彗星へと向かう。

しかし彼らを絶体絶命の危機が待ち受けていた。
迫力彗星は通常の三倍の速さを持つ赤い彗星だったのだ。
そして回避する間もなく、ヤハトは迫力彗星と衝突してしまった。

まさかのバッドエンド!!!

と思われた時、ヤハトに救いの手がさしのべられ、
セーブポイントからのやり直しが許された。
だが、そのセーブポイントとは………。



天真と詩紋の予感は的中した。
復活の呪文で戻されたのは、衝突の直前。

前方から、赤い迫力彗星の巨大な姿がぐんぐん近づいてくる。

「とにかく急旋回だ!! って、さっきと同じじゃないか!!」
「間に合わない!! って、状況変わってねえ!!」

「おや、これは……?」

「波○砲で迫力彗星を粉砕……なんて、できるわけねぇ……
って、このセリフ、前にも言った」
「当然だ! あそこには神子殿が……
……また同じことを言ってしまった」

「打つ手はないの? なんて同じこと言ってる場合じゃないよね」
「わっ!! 前と同じくもう目の前じゃねえか!」
「わわわわわわ!!!!!!」



カチツ



奇妙な音が響いた瞬間、
ヤハトは消えた。

無となった空間を、
赤い迫力彗星が通常の三倍の速さで通り過ぎていく。












完












またもやバッドエンド!と思われたその時 ――――

まだだ!!!!!

八葉の叫びが力強く響き渡った。


「神子殿を救い出すまで『完』はない!!」
「おう、同じ完の画像を使い回すのはこれまでだぜ!」

「このイノリ様が簡単にやられてたまるかってんだ!」
「よかった。まだ船もボク達も無事みたいだね。
でも、ここはどこだろう……」

「どうやら私達は知らない場所に飛ばされてしまったようですね。
船の外には赤い光しか見えません」

「けれど衝突は避けられたのです。御仏のご加護に感謝しなくては」
「違うぞ永泉。これは友雅がしたことだ」
「あ…あの……それはどういう?」

「カチッという音は友雅のいる所から聞こえた。
何を、何故、どのようにしたのだ、友雅」

「なんだって!?」
みんなが一斉に友雅を見る。

「やれやれ、面白いことでも起きるかと思ったのだが、
虎口を逃れて竜穴に入るとはこのことだね」
友雅は肩をすくめた。

「返事になっていない」

「先ほどやり直した時に、ここでこんなものを見つけたのでね」
友雅が示したのは一枚の張り紙。



  こんな ことも あろうかと  

        



張り紙の下には、小さなスイッチがある。

「これを動かしたってのかよ!」
「私には、とても怪しいものに思えるのですが……」

「あの状況だよ。
何もしないよりはましなのではないかな」
「しかし……」
「いや、友雅殿のご判断は正しかったと存じます」
「ま、そうだな。迫力彗星と衝突しないですんだんだ」

「となれば、次はここがどこなのかってことだ」


その時、メインスクリーンが起動し、
仮面の男が現れた。

「現れやがったな、アクラムの野郎!!」
「あれ? 違うみたい……」
「そうですね。アクラムより簡素な仮面をしています」

スクリーンの仮面男は口を開いた。
「彗星にカムフラージュした機動要塞に
こうも容易く侵入してくるとは、
連蓬軍もやるものだな」

「?????」
「こいつ、何言ってるんだ?」
「と……とにかくアクラムとは声が違います」

「だが、見つけてしまえばどうということはない。
貴艦には衝突前から気づいていたのだ。
回避行動もとらず、宇宙空間に散ったかと思ったが、
私は連蓬軍の力を見誤っていたようだ。
衝突の直前に敵艦の中にワープした
諸君の勇敢な行動には敬意を表そう。
速やかに投降して全員下艦したなら、
捕虜としての正当な扱いはこの私が保証する」

「逆らっても無駄だ感が満々の話し方だ」
「八葉でなければ説得されてしまいそうです……」

「けれど、これで少しだけ状況が見えたのではないでしょうか」
「そうだね。ここは私達が衝突しかかった赤い迫力彗星の中のようだ」
「一番偉いのが、簡素な仮面野郎だな」
「簡素仮面男は『れんほうぐん』という相手と戦っていると思われます」

「何より重要なことがある。
神子もアクラムも、ここにはいない」

「つまり、人違いじゃなくて、彗星違いってことか………」

「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」



失礼しました〜〜〜〜〜っっ!!!!!

カチツ


こうして再び、ヤハトは消えた。


ヤハトを鹵獲しそこねた赤い彗星は、
これまで通り通常の三倍の速さで宇宙を進んでいく。




続く




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2016.04.01


絶体絶命のピンチは脱したものの、
じゃあこの2年間は何だったのか!? と
厳しく問い詰めたいのです!(誰にだ)


あ、真田さんのスイッチは【空間磁力メッキ】であって、
ワープ装置ではないってのは重々承知しています。

ただ―――、
空間磁力メッキが、なんと!赤い彗星を跳ね返してしまい、
どっかに飛んで行ってしまった彗星(と神子)を追いかけて、
宇宙の彼方へと終わりなき旅に立つヤハト……


完


………ってな展開しか思い浮かばず、
これではあんまりだなあということで、
こんな話になりました。






妄想力が枯渇してきたようなので、
そろそろ終いにしませんと…ですね。