――これまでのおはなし(間が開いたのでちょっと長め)――
西暦1000年。
京は鬼の怨霊攻撃により滅亡の危機に瀕していた。
怨霊を封じる力を持つ神子はアクラムに捕らえられ、
迫力彗星に閉じ込められている。
さらに鬼の首領アクラムは、神子もろとも迫力彗星を京に墜とそうとしていた。
人々の期待を背に、神子と京を救うべく宇宙戦艦ヤハトで飛び立った八葉は、
バッドエンドの危機を乗り越え、迫力彗星の内部へと突入した。
しかしそこは迫力彗星ではなく、まさかの赤い彗星だった。
間違いに気づいた八葉は、建造物の内部でワープするという暴挙をかまして脱出。
しかしその時すでに迫力彗星はヤハトとすれ違い、
京に向かって宇宙空間を遠ざかっていた。
一方、アクラムも追い詰められている。
赤い彗星の持ち主から修理費を請求され、
レンタルの期限切れで迫力彗星の返却を迫られ、
迫力彗星を白色彗星と思い込んだ男女に体当たり攻撃をされそうでまじやばい。
どうする八葉!!
悪の面目を保てるかアクラム!!
物語はいよいよ最終章へ!!!!
アクラムは拳で勢いよくパネルを叩いた。
京への緊急回線が開く。
「こちらアクラム。イクティダールどうぞ」
「はい、こちらイクティダール。お館様どうぞ」
「神子はおとなしくしているか。どうぞ」
「はっ。黒龍の神子とコイバナで盛り上がっています。どうぞ」
「……ぐぬぬ……私が大変な思いをしているというのに。どうぞ」
「申し訳ありません。ご叱責は何なりと。
ところでこの回線をお使いとは、事件でしょうか。どうぞ」
「緊急事態だ。私は迫力彗星から離脱する。どうぞ」
「ご無事をお祈りしています。どうぞ」
「それだけか。どうぞ」
「お急ぎと存じまして。どうぞ」
ブツッ! ツーツーツー………
回線を乱暴に切ると、アクラムは脱出用の一人乗り用迫力彗星に乗り込み、
宇宙空間へと飛び出した。
軌道は自動計算。あとは京へと帰るのみだ。
「レンタル料も修理代も知ったことか。
全〜〜〜〜部踏み倒してやる!!!
ふはは……ふはははははははは!」
アクラムの悪の高笑いが無限に広がる大宇宙にこだまする。(しません)
「……………」←頼久の沈黙
「……………」←天真の沈黙
「……………」←イノリの沈黙
「……………」←詩紋の沈黙
「……………」←鷹道の沈黙
「……………」←友雅の沈黙
「……………」←永泉の沈黙
「……………」←泰明の沈黙
「何だ、アクラムのやつ。
あわてて全回線開けやがって、こっちにもまる聞こえだっての」
「おそらく本人は気づいていない。
こちらも素知らぬ顔をしてやるのが武士の情けだ、天真」
「赤い彗星とやらの真似ではないのだが、
認めたくないものだね、
自分たちがまんまと騙されていたなどとは」
「けれどよい情報が得られました。
神子殿は京にいる。
我々も急いで戻りましょう」
「おい、んなことより先にやることがあるだろう!
ぼろぼろの艦が迫力彗星にぶつかりそうじゃねえか。
ってことで、波○砲ぶっぱなすぜ!!」
「わわわっ! イノリくん、対ショック対閃光防御がまだ……」
「みんな眼ぇつぶってどっか掴まれ!!」
びゅわわわわわわわぁぁぁぁん!!!
ヤハトの最終兵器が迫力彗星を跡形もなく吹き飛ばした。
その後の空間には、突っ込み先を無くしたヤハト似の艦。
「ああ、おみごとです、イノリ殿。
私はただおろおろするばかりで……」
「銀河海面が存在ないからこそ可能な砲撃だった。
ちぐはぐな設定に助けられたが、的確な判断と思う」
「では、京へ急ぎましょう。
一刻も早く神子殿をお助けせねば」
「これで心置きなくアクラムの野郎をやっつけられるぜ」
「ところで、コイバナって何だ?」
「向こうにも女の子がいるってことだよ」
「アクラムの乗った小型彗星より早く到着しましょう。
京にある鬼のあじとを突き止めなければなりません」
「やれやれ、鷹道はもう先々の事まで考えているのかい」
「鬼に囚われていることに違いはありませんが、
私は、神子が無事であることが分かり、
とてもうれしく思っています」
「無駄足を踏んだ。何年がかりの旅だったのだ」
そして、彼らの戦いの舞台は京へと移り、
新たなる戦いの物語は続く。
続くったら続く。(CV:龍神様・合掌)
完
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2020.04.01