京都旅行記・夏



1日目

〜東京駅・車中・京都駅〜



旅の始まりは美しくありたいものですが、そのようにはうまくいかず、
ちょっとドタバタしつつスタート。

東京駅新幹線改札口前の自動販売機で、指定券を購入しようとしたら
なぜか拒否されてしまい、お隣の窓口の列に。
どこも4人ほどでしたので、さほど時間はかからぬものと
思ったのですが、 とんだ大間違いでした。

窓口の脇にディスプレイがあり、各新幹線の空席情報が映し出されています。
発車まで15分ほど余裕のあるのぞみちゃんの禁煙席がよいな、と
思っていたら、列が進まず、結局次の次の列車になってしまいました。

どれに乗るのか、聞かれてからディスプレイ覗かないで。
表示されてるんだから、並んでいる間に見ておいてよ。
言われてからサイフ探すな〜!etc.
出発までの経緯もあって、短気MAX状態な真宮は
順番待ちの間、心の中でツッコミまくりでした。

すぐ前の人は、係の人と二言三言、言葉をかわしただけで、1分足らずで終了。
真宮も上に同じ。

切符をひっ掴んでホームに駆け込み、
3人がけの真ん中という落ち着かない席に。

それでも、かくん、という軽い衝撃で新幹線が発車した時には
うれしさがこみ上げてきました。
心を乱すことに逐一反応していては、せっかくの旅の時間がもったいないです。
とにかく京都に着く前に、本日どこに行くか決めなくては。

ゆっくり一呼吸して心を静め、地図を取り出して今回行く予定の場所に
マークを書き入れていきます。
スタート地点だけは決めてあります。
前回タイムアウトで入れなかった三十三間堂から。
ここから行きやすいのは・・・・?

というわけで、作業に没頭していましたら、
いつのまにやら車内販売のワゴンが沈黙の内に通り過ぎ、
目を上げた時には、ちょうどお辞儀をしてこの車両を出るところでした。
黙ってすたすた通り過ぎる車内販売って・・・・。

お弁当を買うつもりでいたのに残念。
でもいずれまた来てくれるのだろうとタカをくくっていましたら、
ワゴンは戻って来ないままに、京都駅到着。
このままでは、朝食に続いて昼ご飯も食べ損なってしまう。
前回の旅で、食事はちゃんと摂らねば!と大いに反省したのに。

時間がもったいない〜!!!と焦れつつ、駅中のお店でお腹に詰め込み、
予約してある、駅にほど近いホテルへ荷物だけ預けに行きました。

駅に駆け戻り、均一区間一日乗り放題の市バスカードを買って、
いよいよ!出発〜!!


〜三十三間堂・池田町(鳥辺野?)・東寺・羅城門跡・左女牛井跡(源氏館跡地)〜

この写真を見て下さい! 踏み台になってもらうこともなく、飛び越えることもなく、
三十三間堂に堂々と入ることができたのです(←当然だ)。

入れた〜   三十三間堂

ただし、中は撮影禁止。
でもその分、しっかりと記憶に刻み込んできました。

浮かれ気分を吹き飛ばす、目の届く限りにびっしりと屹立する千手観音像の威容。
間に配される様々な天部像。
歳月に黒くくすんだ高い天井の一部には、かつての彩色の跡が。

観音像は一体ずつ違うお顔と言われていますが、
確かに、よくこれだけバリエーションがあるか、と思うほどに、
荘厳であったり、柔和であったり、繊細であったり、おおらかであったり・・・・。

一番奥まで進んでから後ろを振り返ると、おおっ!!ゲーム画面ぽい(爆)。
今までの敬虔な気分はどこへやら、とたんに妄想モード全開です。
度し難き、縁無き衆生とは私のことか。

千手観音像の裏手の回廊には、様々な史料が展示されています。
とにかく後白河法皇のことがいっぱい!(←これも当然だ)
有名な通し矢のことも、いろいろ知ることができました。
まる1日矢を射続ける、通し矢のフル・バージョンは、もはや超人です。

次に向かったのは「遙か」とは関係ないけれど、
拙サイト的には行っておきたいなあ(苦笑)・・・な、鳥辺野近辺。

かつての京都の葬送の地は、新幹線の東山トンネルを挟んだ、南北に広がる一帯と
思ってよいのでしょう・・・ね。
京都市観光協会のサイトには、五条坂から今熊野辺りの丘陵地の総称とありますので。

というわけで、バスの便がよい五条坂へ。
丘陵地に分け入る、国道1号線を走るバスの停留所を探すと、
件のサイトには市バスとあるのに、京阪バスがやって来ました。
とりあえず乗りましたが、バスの走る道は、まるで高速道路のように上下線が区切られて
横断する術もなく、高い切り通しに沿った歩道には、人っ子一人歩いていません。
そこをひたすら、走る、走る・・・・。
いいかげん心細くなった頃、池田町バス停に到着。
降りたのは私一人。

山は遠く、空は青く、陽はまだ熱く高く、車だけが高速で通り過ぎるアスファルトの道を、
てくてくと歩きました。

迷子状態

内心、パニクっていたらしく、写真のほぼ真ん中に電信柱という、情けない構図。
この丘陵のどの辺りが、どのようだったのか。
わかりようもなく、わかったらなお恐い。

道路の分岐点で下をくぐり抜ける道を見つけ、
行ってみると脇道に入った所に京都駅行きのバス停が。
で、迷神子にならずに帰ってくることができました(苦笑)。

帰ってから思えば、今熊野方面に行っておけばよかったと。
次回があるなら、その時には!

バスを乗り継いで、東寺へ。
東門(慶賀門)から入ったのですが、門の脇には消防自動車の鎮座ましました車庫が。
案内図によれば、これは消防署で、隣には交番も。
さすが御大師様、と、幾分ずれて感心しつつ門をくぐると、中はまるでフリマ?!
もう夕方ということで撤収が始まっていましたが、
この日は弘法大師様の月命日ということで、市が開かれていたのでした。

慌ただしく動き回る人と軽トラックで、何やら埃っぽい境内を
作業の邪魔にならないよう、はじっこを選んで歩きます。

蓮蕾   蓮華

宝蔵を囲む池には蓮の花。
恋のつぼみ。八葉蓮華。
にやけつつ、写真撮影しました(笑)。

拝観受付を通って、明王様のいらっしゃる講堂へ。
京都駅に近いのに、今までご縁が無くて訪れたことのない東寺。
西に向かう新幹線の車窓から、有名な塔だけは幾度も見ていたのですが、
こうして境内を歩いてみると、今まで抱いていた少しくすんだイメージとは違って、
広々として落ち着いたお寺でした。

東寺五重塔

目をひかれたのが、五重塔の美しさ。
夏の空を背にくっきりと輪郭を浮き立たせ、しかも荘厳で。
思わず何度もカメラを向けましたが、塔のまとう空気まではとても・・・。

東寺の南大門を出てしばらく西に歩くと、大通りから少し引っ込んだところに
小さな児童公園があります。
そこに、かつての都の入り口、羅城門の跡の石碑が一本。
建物に囲まれて、夕日の射さぬその一画には、もう夕暮れが訪れていました。

羅城門跡

写真がやや窮屈な構図になっていますが、
左奥のベンチでビールを飲んでいるおじさんを写すまいと、
壁ぎりぎりに寄った結果、このように。

公園を出て、九条通のバス停へ。
東西に伸びる広い道は、まだまぶしい西日を浴びています。
5時を過ぎても活動できる日の長さに感謝しつつ、
初日の締めくくり、六条堀川の源氏館跡を目指します。

とはいえ、今の六条通は五条と七条の間に挟まれて影が薄く、
東西に辿るのも難しい状態。
けれど、源氏館の井戸の跡だけはあるということで、堀川通へ。
かつては、辺り一帯堀川館だったはず。

それらしいものを探しながら、しばし歩きました。
すると、五条通にほど近い、大きなホテルのそば、歩道にあるグリーンベルトに
ぽつねんと、館の井戸(さめがいと読みます)の石碑と案内板が立っていました。
こ、これだけ・・・・?

源氏館井戸跡

後ろは、ひっきりなしに車の行き交う大通り。
歩道は人が少ないけれど、自転車はかなりのスピードで走ってきます。
石碑の周りはきれいですが、グリーンベルト内は雑草が茂り、ヤブ蚊が生息している模様。

ぐるりと周りを見渡して、襲ってきたヤブ蚊をぴしゃりと叩き、
結果、この場でゆっくりと妄想するのはあきらめました。

明るさの少し残る時間にホテルへ帰投。

ホテルへの路地

夢いっぱい、心浮き浮き状態の初日の晩。
これからの日程をじっくりと考えるのが楽しくてたまりません。
明日はまず、比叡山と決めています。
その後はどこへ行こうかな。

ベッドが合わず、枕も合わず、睡眠不足に陥るとは
この時には知るよしもなく・・・・・。



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