◇女房の報告 → 藤壺中宮
「…………かくかくしかじかで、あのひとときは夢であったのかとおぼつかない心地のままにその時のことを思い出すにつけても、橘少将様のご様子がこの世のものとも思えぬほど美しかったので、少将様を梨壺にお遣わしになった帝の御心がとても有り難く、七夕の雨すらも趣深く感じられる夜でごさいました」
◇中宮のお言葉 → 女房
「もっと分かりやすく書いてくれなくちゃイヤ!」
ぷいっ
◇女房の報告 → 弘徽殿の女御
「七夕の夜にふさわしいのは―――雨、不思議な出来事と橘少将様。
あれは夢なんかじゃなかったわ。簾を上げて見ることができたなら……」
◇女御のお言葉 → 女房
「楽しい七夕になったのね。
主上にも、その不思議をお見せしたかったわ」
◇天界にて―――
「牛よ、龍神の元へ余の書状を届けよ」
「モ…」
「あちらの管轄で問題を起こした詫び状である」
「モウ」
天帝→龍神の詫び状は、これで何通目になるのだろうか……。
通い慣れてしまった龍神世界への道を、
牛はとことこと歩いて行く。