「景時さん、ごめんなさい…」
望美は池の隅っこで震えている式神にも謝った。
「驚かせてごめんね。大丈夫?」
「キキュ」
パシャぴょんパシャぴょん
「猫は逃がしちゃったし、景時さんまで池に落としてしまって…。
今日は私、失敗ばかりだ……」
望美は重い足取りで池から上がった。
薄着の季節とはいえ、水と泥のついた洋服は重く、
さっきまで心地よかった微風が、濡れた髪にはとても冷たい。
その時、ふわっと身体が浮き、望美は景時に抱え上げられた。
「望美ちゃん、そんな顔しないで、ね?」
眼の前に、景時の顔がある。
前髪が濡れて、額に下がっているのが、何だかとても…とても…
望美の顔が赤くなる。
と……景時は望美を抱えたまま笑顔で言った。
「濡れたままだと風邪をひくから、お風呂であったまろうよ♪」
「……え!?」
「……え♪♪」
水もしたたるいい男☆を書きたかったの。
2012.08.11 筆