白い光に包まれ、
夢をみた
うつつの夢
来たるべき
夢はうつつ
幻はやがて来たる
その時は
まだ遠い
その時は
間近い
在るべき場所はどこに
在るべき場所はここに
在るべき場所は彼方に
在るべき場所は失われた
深い霧・・・・
大きな、川が見える・・・・
ここは、どこなんだろう・・・・
また・・・知らない場所に・・・・飛ばされて・・・・
あそこにいるのは・・・誰?
金色の髪・・・鬼の人だ!!
あの姿は・・・父さん?!
父さん!!!
・・・・違う・・・
あの人は父さんにそっくりだけど
父さんの髪は真っ直ぐだ
あんな覆面だってしたことがない
兄さんにも似ているみたいだ・・・・
でも・・・似ているけど、兄さん達はもう・・・みんな・・・
雪の原の向こうを一心に見つめて・・・・
あの人は、誰かを待っているの?
なぜ、ぼくに気付かないんだろう・・・
え?
ぼくの・・・・身体が・・・ない!
こんな雪の中なのに
寒くない
地面も冷たくない・・・
・・・・・・
ぼくは・・・・死んじゃったの?
それとも・・・夢をみているの?
その時、霧の向こうから
声が・・・・聞こえた
あ・・・・あの声は・・・・
声が近づいてくる
男の人と、子供、女の人が二人
短い髪の人と
そして・・・・
・・・・・
長い髪
優しい眼
凛とした美しい顔
透き通った、清浄な気
あの
とうとう、会えたんだ!!
やっと・・・・
あ・・・・
ぼく・・・・動けないんだ・・・
身体がないから
今のぼくは・・・何もできない
せっかく・・・あの
存在しないはずの眼に、熱い涙がにじむ
ぼくは
ぼくは、ここに・・・います!!!
お願い・・・ぼくを・・・見て・・・・
その時、
鬼の男が口を開いた
「私の名はリズヴァーン・・・・」
世界が砕け落ちるような衝撃
違う!!ぼくがリズヴァーンだ!!
声の無い叫びを上げた時
リズヴァーンと名乗った男の視線が
一瞬
こちらに向けられた
悲しく、厳しく、そしてあたたかな眼差し
ああ・・・・
全てが分かった
あなたはぼく
ぼくはあなた
いつかぼくは
あなたになって
この
に立つ
ぼくの運命は
確かに
あの
続いている・・・・
白い夢が消えると
冷たい暁の雨
首に掛けた白い鱗がほのかにあたたかい
そのぬくもりを確かめるように
幼いリズは
まだ涙の流れる頬を
そっとすり寄せた
間章 散桜